近畿圏における女性活躍の低迷

京阪を中心とする近畿圏は、高学歴女性の比率が国内で高い水準にあります。しかし、女性の就業率は全国平均より低くなっています。人口の東京一極集中が進み、都市圏でありながら若い女性の流出も続いています。
近畿2府4県は、京都大学や大阪大学をはじめ大学が多く、大学進学率も高くなっています。文部科学省の2016年度の調査によると、女性の大学・短大進学率は東京の69.9%に続き、京都では68.8%、兵庫、奈良、大阪と近畿の府県が上位5位に入っています。しかし、女性の就業率は低率です。25~44歳の女性の就業率は、2府4県とも全国平均を下回っています。女性の流出も続いています。大阪府と滋賀県を除く近畿4府県で、女性の転出者数が転入者数を上回っています。15~19歳の女性は転入者数が転出者数より多いのですが、25~29歳で逆転していきます。
近畿圏の産業構造や保守的な価値観の根強さが理由で、高学歴女性が流出しているとの指摘があります。高学歴女性に人気の事務系職種が、関西で減ってきています。関西で女性の就業が進まなければ産業が拡大せず、経済は成長を望めません。働く女性が少ないと世帯収入が伸びず、域内の消費低迷も招くことになります。女性の活躍度を、仕事と生活の両面で見える化し、人材育成を図ることが大切です。大学が女子学生のキャリア教育に注力しても、地元に就職先がなければ人材は流出してしまいます。

(2019年11月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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