総務省の社会生活基本調査によれば、2021年の平日の通勤・通学時間は平均38分で、2016年調査より3分短くなっています。調査時期は2021年10月で、新型コロナウイルス感染拡大の第5波が収束した時期にあたります。コロナ禍で、47都道府県のうち31都道府県で時間が減っており、リモートワークの定着や職住近接志向の高まりが影響した可能性があります。
通勤・通学時間が長い上位は、東京・大阪・名古屋の三大都市圏が占め、首都圏1都3県はいずれも45分と全国で最も長くなっています。国勢調査によると、自宅がある市区町村へ通勤・通学する人の割合は、1都3県では33~39%で、全国平均の26%に比べて目立って高くなっています。郊外の住宅地から都心のオフィス街に通う人が多い分、通勤時間も長くなりがちです。
一方、リモートワークが浸透したコロナ禍を経て通勤時間が最も短くなったのも首都圏です。前回調査と比べると1都3県はいずれも短くなり、神奈川の短縮時間は12分と全国最大でした。通勤・通学時間の増減率でみても、全国の7%減に対し、1都3県は平均で16%減となっています。
(2023年1月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)