血液をつくる造血幹細胞は、主に骨髄にあって、増殖しながら白血球や赤血球、血小板などに変化します。ただ体の外に取りだすとうまく増えず、これまで血液細胞を体外でたくさん作ることは困難でした。理化学研究所などのチ-ムが、血液をつくる造血幹細胞を取り出し、体外で様々な血液細胞に変化できる能力を保ちながら、無限に増やせる方法を開発しました。
マウスの胎児の肝臓から造血幹細胞を取り出し、特定のたんぱく質の働きを阻害する遺伝子を組み込むことにより、血液細胞などになる前の段階の細胞で増殖することが可能になりました。この遺伝子を組み込んだ細胞は主に白血球をつくるため、人工白血球幹細胞と名付けられました。ヒトの臍帯血から取った造血幹細胞からも、この細胞を作ることに成功しています。
(2015年10月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)