運送業界の2024年問題

働き方改革関連法が施行され、トラック運転手の時間外労働に年間960時間の上限が課せられます。人手不足が慢性化している物流各社は、十分な運転手を確保できません。安定的な長距離輸送が困難になるとの懸念があり、2024年問題と呼ばれています。働き方改革が2019年に施行された際にトラック運送業への適用が特例で猶予されていましたが、2024年3月末で終了します。
全日本トラック協会の調査によれば、2022年10月時点で、時間外労働が960時間を超える運転手がいると回答した企業は、29.1%に達しています。このままの状態では、2024年問題の影響で2025年に全国の荷物の28%、2030年には35%を運べなくなる可能性が出てきます。このため物流各社は、配送方法の見直しや荷下ろし作業の効率化、運転手の負担軽減などの対応が急務となっています。
政府は、10月に物流の効率化や商慣行の見直しなどを柱とする緊急対策をまとめ、一連の施策により2024年度に見込まれる14万人の運転手不足解消をめざす考えです。しかし、日本の物流業界は、トラック事業者の99%を中小企業が占めており、政府の対策が想定通りの効果につながるかは見通せません。

(2023年12月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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