遺留金の活用

総務省の調査によれば、身寄りのない人が亡くなった後、誰にも相続されずに全国の自治体が保管している遺留金が少なくとも約21億5,000万円に上るとしています。単身世帯の増加や、家族のつながりの希薄化などから、こうしたケースは増えると見込まれます。
本人の死後、家族がいなかったり、疎遠で頼れなかったりして、遺骨を引き取る人がいないのは、2018年4月~2021年10月に約10万6,000人にも達しています。自治体が保管する遺留金は、2018年3月末時点の約13億1,000万円から急増しています。身寄りのない人が亡くなると、自治体は残された財産を保管し、相続人となる親族がいないかを調査します。相続人がいなかったり、相続人がいても、受け取りを拒否したりした場合、国庫に納める手続きをします。
政府は、2020年12月から、残された財産を振込手数料など少額の費用で法務局に供託し、国庫に納付する弁済供託制度を使えるようにしています。利用を検討したことがない自治体は7~8割にのぼっています。身寄りのない人が亡くなった時の火葬や相続人の調査といった対応は、他の業務と兼任の自治体職員が担当しています。遺留金は国庫ではなく、自治体の財源になるようにすることも考慮すべきと思われます。

(2023年4月20日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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