郵便局は現在全国に2万4千ケ所あります。2007年10月に民営化した後もほぼ変わらず残る津々浦々の郵便局は、地方の生活の最後の支えになりつつあります。今や約400自治体が何らかの事務を託しています。人口減が進む地方では、JRを含む公的機関も拠点をたたんでおります。
元々郵便局は、全国一律で提供するユニバーサルサービスの定めがあります。近年は、信用金庫や信用組合、農協といった地域に根を張る金融機関さえ店舗を減らし、合理化を進めています。郵政だけがサービスを続ける余裕はあるのか、人手の問題もあります。局長のなり手が無く、このまま維持するのは不可能な状況にあります。
郵便局網の維持は、現在の経済原理に全くそぐわない状況になっています。情報の伝達や金融サービスを保証するだけならスマホで事足りる時代になっています。国が何を保証し、誰がコストを支払うのか、ナショナルミニマムの議論が必要な時期にきています。

(2025年8月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)