都内病院の赤字

 東京都内の病院経営が厳しさを増しています。100床あたりの経常損失は全国平均を3割上回り、赤字の病院は全体の半分を占めています。新型コロナウイルス禍前の水準まで患者数が回復せず、地方に比べて人件費や患者に出す食事の経費が高いことも背景にあります。老朽化した病院の建て替えを断念し、閉院するケースもでてきています。

 病院の経営悪化は、全国共通の課題です。厚生労働省によれば、8月の1日平均在院患者数は114万1,950人で、コロナ前の2019年の8月に比べ8%減少しています。外来患者数も同10%減でした。コロナの感染拡大で広がった受診控えが根付いたことや在宅医療の拡大などが指摘されています。人件費の上昇も経営に暗い影を落としています。

 日本病院協会などの調査によれば、6月の100床あたりの経営損失は、全国平均が1,732万円なのに対し、東京都は2,293万円でした。都病院協会によれば、赤字だった病院の割合は2022年度下半期に128病院中31%でしたが、2023年度上期には49%まで上昇しています。

(2024年11月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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