配偶者控除は、夫が働き、妻が家事を担当する家庭を想定し、夫の所得税を安くするしくみである。妻の年収が103万円以下なら、夫の課税所得が年38万少なくなる。そのため妻の年収を敢えて103万円以下に抑えている家庭もある。これが女性就労を妨げる壁であるとの指摘があり、政府は配偶者控除の見直しを検討している。
これまでの配偶者控除が、非正規労働の賃金相場を下げる要因となっていたり、パート女性が100万円前後に年収を抑える就労調整をすることにつながるとの考え方もある。一方、配偶者控除をなくせば、子育て世帯の多くで経済的負担が増えることになり、出生率が低下し、少子化が加速化されると懸念する声もある。配偶者控除をなくすのであれば、子育て世帯の負担をなくす控除を増やすこと、特に多子家庭への支援を重点的に考えるべきである。
(2014年6月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)