全国の病院にある重症患者の入院を想定した病床が、初めて減少に転じました。病院の増収が見込むことができる重症向け病床は、年1万~2万床のペ-スで増えていましたが、厚生労働省の調査では昨年4月から同10月までの約7カ月間で1万4千床減ったことがわかりました。医療費を削減するため、労働省が重症向けの要件を厳しくした結果とみられます。
重症患者向け病床は、厚生労働省が治療や看護を手厚くする目的で、2006年度に創設されました。入院単価が高くなるため、病院が増収を狙って病床数を増やし続け、13年には約38万床と厚生労働省が当初予定した10倍以上に膨らみました。病院側としては、増収の目的で重症病床に入れる必要のない患者を病床占有のために入れておくケースもみられます。医療費の支出を防ぐ意味では、こうした厚生労働省の取組は評価できます。
(2015年3月5日 日本経済新)
(吉村 やすのり)