重症病床の減少

 厚生労働省は、入院ベッドの配置を見直すことにしています。看護師を多く必要とする患者の自己負担が重い重症向けの病床を約1.5万床減らし、軽症向けの病床に切り替えます。重症ベッドは病院が高い報酬を得やすく、この10年で8倍の37万床になりました。病院が軽症の患者を重症ベッドに入れるケースも多くなっています。需要に応じた配置への見直しにより、患者や公費の負担を削減し、看護師不足を解消しようとしています。
厚生労働省案では、まず重症向けの認定基準を厳しくします。重症向けベッドは、脳梗塞やガンなどの手術を終えた患者を集中的に治療し、早期の退院につなげるのが本来の目的です。1人の看護師が担当する患者は、軽症向け病床では1015人ですが、重症向け病床は7人です。手厚い看護を受けられますが、その分病院が受け取る報酬も高くなります。多くの病院が、報酬を増やすために看護師を集めて重症向け病院に転換しています。現在では全国の一般病床の半分以上が重症向けになっています。

(2016年1月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。