鎮痛剤の使用方法

鎮痛剤である非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)は、頭痛や関節痛などによく使用されます。NSAIDsは痛みや炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンが体内でつくられるのを抑えますが、使いすぎると胃腸障害や腎障害などを起こすことがあります。プロスタグランジンが、胃の粘膜保護や腎臓の血流を保つといった作用まで抑えてしまいます。子どもや高齢者、腎機能が低下している人はとりわけ注意が必要です。また、鎮痛剤の飲み過ぎは薬物乱用頭痛を招くこともあります。
鎮痛薬を月に10日以上となると飲み過ぎです。頭痛の場合、鎮痛薬を週2回以上飲んだり、起きていられないほど重い症状があったりすれば、医療機関を受診すべきです。生理痛で1生理周期あたり4日以上継続して鎮痛薬を使うようなら、子宮内膜症が疑われます。生理痛に対しては、鎮痛剤を使用するのではなく、ピルを服用すべきです。
関節痛や筋肉などの痛みでは、鎮痛薬や湿布薬の使用を1週間以上続けても治らないときは受診すべきです。急性期を過ぎると、NSAIDsなどの鎮痛薬が効きにくくなります。痛みが3カ月以上続く時には、症状に応じ中枢神経に作用して痛みを抑える慢性疼痛治療薬などを使用します。
痛みを我慢せずに鎮痛薬の量を減らすためにも普段の生活改善が肝要です。片頭痛や緊張型頭痛では、引き金となるストレスや寝不足を避けるべきです。緊張型頭痛は、体の緊張をほぐすストレッチ、腰痛や関節痛は無理のない範囲でウォーキングなどの運動も有効です。

(2021年4月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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