長期債務残高の増加

国債や借入金といった将来税収で返済しなければならない国の借金である長期債務残高が、3月末に1,000兆円の大台を超える見通しです。新型コロナウイルス対策の巨額支出を賄うため、新規国債を大量に発行したことも加わり、債務残高はここ10年で約1.5倍に急増しています。単純計算で国民1人当たり約800万円となり、つけは将来世代に回ることになります。
公共事業などに使う建設国債や歳入不足を補う赤字国債といった普通国債が985兆円とほとんどを占めています。地方も3月末で190兆円の長期債務を抱える見込みで、国との合計は1,200兆円を超えています。国内総生産(GDP)の約2.2倍に達し、先進国の中で圧倒的に高くなっています。
既にコロナ感染拡大前から、当初予算の一般会計の歳出は100兆円を上回り、年60兆円前後の税収では到底賄えません。不足分は新規の国債発行で穴埋めするほか、満期を迎えた国債の返済に充てる借換債も発行し、借金で借金を返す構図です。高齢化に伴う社会保障の膨張に歯止めがかからない中、年間税収の17倍に上る巨額債務は財政の重荷となっています。

(2021年3月28日 岐阜新聞)
(吉村 やすのり)

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