長期金利の上昇

 長期金利は、リーマン・ショック直後以来の高水準をつけています。家計や政府・企業の負担が膨らむ要因となります。長期金利とは、期間が1年以上の資金の貸し借りに適用される金利で、直近に財務省が発行した10年物国債の利回りが代表的な指標となっています。長期金利は、住宅ローン金利や貸出金利のレートを決める際の目安とされています。景気や物価の先行きなどの予測も反映するため、経済の体温計とも呼ばれます。

 金利と債券価格は逆に動きます。財政拡張に伴って国債の増発への懸念が高まると、需給バランスが緩み金利上昇し、債券価格は下落につながります。景気が回復に向かう中で物価上昇の可能性が高まり、日銀が政策金利を引き上げるとの観測が強まった時も金利は上昇します。

 世界の主要国の中で、日本の債務残高は突出した水準に膨らんでいます。国際通貨基金によれば、2023年時点で日本の債務残高はGDP比240%でした。米国の119.0%やイタリアの134.6%と比べても、群を抜いた高さです。国内金利の上昇が続けば利払い費が増え、さらに財政負担が膨らむリスクを警戒する声があがっています。

(2025年7月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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