防災士は、NPO法人である日本防災士機構が2003年に作った民間資格です。養成講座を受けて試験に合格し、救急救命講習を修了すれば取得できます。災害時の避難所運営のほか、平時は避難訓練でリーダー役を果たすなど、防災意識向上を図る役割も期待されています。
資格の創設は、1995年の阪神・淡路大震災で地域の防災力向上が求められたことがきっかけです。東日本大震災直後の約5万人から6倍に増え、昨年30万人を突破し、女性の割合も急増しています。東日本大震災後は、資格取得に助成金を出す自治体が増えたことで拡大しており、その後も災害が切れ目なく起こり、地域の防災関係者や自治体の人材育成への関心は高くなっています。
災害時に防災士だけでできることは限られており、自治体や社会福祉協議会などとの一層の連携が必要です。地域的なばらつきも多く、都道府県別では、養成に力を入れる愛媛県の2万5,974人が最多となっています。一方で、愛媛県より多い人口150万人以上の鹿児島県は、2,434人と10分の1以下にとどまっています。避難所にいる被災者が多様であることを考えると、幅広い世代や性別の防災士が支える必要があります。

(2025年3月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)