隠れ心臓病の早期診断

 異常なたんぱく質の蓄積が心臓の働きを低下させる心アミロイドーシスは、早期発見が難しいとされ隠れ心臓病ともいわれています。患者数は少ないとみられていましたが、診断技術が普及して潜在患者は数万人近くいることも分かってきました。新薬の承認も相次ぎ早期発見、早期治療に道が開きつつあります。

 心アミロイドーシスは、糸くずのようなたんぱく質であるアミロイドが心臓に蓄積します。心臓の働きが徐々に衰え、息切れや胸の圧迫感などの症状が現れ、全身の衰弱や貧血、手足の痺れなどが起きます。進行すると死に至る恐れがありますが、発症原因などは判明していません。従来は息切れなどの症状が現れても、単に心臓の機能低下による心不全と診断されていました。

 2016年以降、シンチグラフィーによる早期診断が可能になってきました。シンチグラフィーは放射性医薬品という薬を使う核医学検査で、アミロイドの蓄積状況を画像で評価できます。検査薬を注射後、ガンマカメラという装置で心臓の画像を撮影します。患者にとって負担の少なく早期検査できるようになりました。対処療法が中心でしたが、病気の進行を抑える治療薬が次々と登場しています。

 心アミロイドーシスは、早期に発見し治療を始められれば、病気の進行を抑え、生活の質を維持したまま日常生活を送れます。今後は、AIなどを使った超早期の発見技術の実用化にも注目が集まっています。

(2025年8月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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