身体内に細菌などが侵入すると、これを排除しようする防御反応がおこります。この際に起きるのが一般的な炎症です。全身ではこうした小さな炎症が常に発生していますが、これが加齢に伴って慢性化し、蓄積してしまった状態を隠れ炎症といいます。隠れ炎症が進行すると、動脈硬化や高血圧、心臓病、腎炎、肝炎、アルツハイマー病など数々の病を発症する恐れがあります。肌は隠れ炎症の影響を受けやすいとされています。紫外線やほこりといった外的ストレスにさらされることで、シミやシワ、たるみなどが目立ち、見た目上も老け込みます。
隠れ炎症が起こる原因は、現代人の生活習慣そのものと言っても過言ではありません。運動不足による肥満や食生活の偏り、ストレス過多、座りっぱなしの生活、不規則な生活などが隠れ炎症を悪化させる炎症性サイトカインと呼ばれる物質が体内で分泌され、結果的に隠れ炎症になってしまいます。予防するにはバランスの良い食事を心がけるのをはじめ、よくかんでゆっくり食べることが大切です。さらに血糖値を急激に上げないために野菜を先に食べるほか、腸内環境を改善するために食物繊維や発酵食品を多くとることも必要です。食事とともに重要な運動に関しては、筋肉トレーニングや有酸素運動などを日常的に行うことが大切です。
(2016年1月22日 産経新聞)
(吉村 やすのり)
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