雇用保険料の引き上げ

新型コロナウイルス感染拡大で雇用調整助成金の給付が増え、財源が逼迫しています。そのため、厚生労働省は雇用保険の保険料率を引き上げる検討に入ります。国費投入のほか、企業や働く人の負担も増えます。
雇用保険は、仕事を失った人が生活に困らないようにする失業者などと、雇用安定・能力開発の2つの事業に大別されています。企業などからの保険料収入を財源にし、好景気の際の積立金も使って給付する仕組みです。しかし、コロナを受けて、雇用安定の事業の一部である雇調金の給付が急増しています。
財源が不足し、国の一般会計から約1兆1千億円を繰り入れ、失業者向け事業の積立金からも約1兆7千億円を借りています。この積立金は、コロナ前の2019年度に約4兆5千億円ありましたが、2021年度に約1,700億円に減る見通しです。この規模の支出が続くと、2021年度末までの財源が足りず、緊急措置として一般会計からの追加投入を視野に入れています。フリーランスの働き手の拡大など、働き方が多様化する中で、財源の確保策とともに、雇用の安全網をどういう中身にしていくかも課題となっています。

(2021年7月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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