5月の有効求人倍率が1.09倍と、バブル経済崩壊後の1992年以来、22年ぶりの高水準となった。わが国の経済は上向き傾向にある。しかしながら、非正規社員の数は1千万人から2千万人へと倍増したが、正規社員は500万人減少している。働き手に占める非正規社員の割合は、2割から4割へと増加した。5月の求人でも非正社員の求人が6割近くを占めており、正社員の求人は減少している。
若い男女の求人は増加しているものの、非正規社員での雇用が多く、結婚・妊娠・出産の増加につながるとは考えにくい。若い男女の雇用の質の上昇が少子化対策のキーである。
年齢別、雇用形態別に見た男性の有配偶率を見てみると、正規雇用でないと結婚できないことが多いのが明らかである。雇用の安定は有配偶率の上昇につながることからも、若い男女の正規雇用率を上昇させることは、大切な少子化対策の一つである。
(吉村泰典:わが国の少子化を考える)
(吉村 やすのり)