離婚後の共同親権

法制審議会の部会は、離婚後の共同親権の導入と、現行の単独親権の維持を併記する形で論点整理をしています。親権には、大きく分けて、未成年の子の身の回りの世話と教育をする身上監護権と、子の財産を管理して契約行為などを代理する財産管理権があります。今の民法では、父母が婚姻中は双方が親権を持ちますが、離婚後は一方に決めなければなりません。
今回の論点整理で、基本的な規律として、父母双方が子を養育する責務を負う、子の最善の利益を考慮しなければならないとしています。そのうえで、離婚後の共同親権を法改正で実現する案と、現行法のまま単独親権を維持する2案を併記しています。共同親権を導入する場合は、原則=共同、例外=単独とする案と、原則=単独、例外=共同とする案を提示しています。原則・例外を定めずに、柔軟に選択できるという考え方もあるとも注記しています。
共同親権にした場合は、身の回りの世話などをする監護者については、父母の一方に定める必要があるという案と、定めるか否か父母が協議して選べるという案を提示しています。監護者を置けば、身上監護権は監護者が担い、財産管理権は監護者が単独か双方で協議して行使するなどの複数案を提示しています。監護者を置かなければ、両権利とも父母が共同で行うとしています。
2020年は婚姻が約53万組、離婚が約19万組に上っています。離婚して親権がなくなっても養育費を支払う義務などはあります。しかし、2016年度の調査では、養育費を受け取っている母子家庭は24%、母子家庭の子が離れて暮らす父と面会交流するケースは30%にとどまっています。

(2022年7月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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