厚生労働省の全国調査によれば、難病医療法に基づいて公的な医療費助成を受ける難病の重症患者などの認定率に、疾患によって49~97%と大きな差があることが分かりました。難病医療法が2015年に施行され、56疾患だった助成対象は300以上に増えました。患者の不公平感をなくすのが狙いでしたが、患者から不満の声が上がることも予想されます。疾病別で認定率が高かったのは、記憶力低下や歩行障害が出る亜急性硬化性全脳炎97%、脊髄小脳変性症93%、パーキンソン病関連疾患92%です。低かったのは、皮膚病の天疱瘡49%、脳の血流が低下するもやもや病61%、潰瘍性大腸炎69%です。都道府県別の認定率も、高知県の69%から宮城県の86%まで幅がありました。
助成対象は、原則重症患者に絞られ、以前から助成を受けていても、軽症と判断された人は打ち切られることになってしまいました。しかしながら、症状を抑える薬が出た疾患は、重症者の認定率が低くなります。重症度の判断は、介助の必要性など、国の基準に従い、自治体による研修を済ませるなどした難病指定医が行っています。重症度の判断基準は、疾患によって異なるのは当然ですが、患者が不公平感を抱きにくいよう、見直しも必要です。
(2018年10月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)