自転車全体の事故が減る中、電動アシスト自転車の事故が相次いでいます。件数は10年間で倍増しています。幼児2人を乗せる3人乗りは、総重量が100㎏を超えるなど、バランスを崩して倒れるケースが多くなっています。警察庁らの調査によれば、2011年は1,238件だったところ、2020年は2,642件と2倍以上に増加しています。2020年の自転車事故の全体件数が約6万8千件と、2011年の約14万4千件から半減したのとは対照的です。
主要な原因は親子3人で乗る場合、車体を含む総重量が100㎏を超え、車体のバランスの維持が難しくなる点にあります。車体重量が約30㎏の製品が多く、3人で利用すると不安定さが増します。事故の半数は走行中に発生しています。バランスだけでなく、車道と歩道の段差にも危険性が潜んでいます。5㎝程度の段差でも転倒するリスクが高まるとし、乗り越える場合は減速のうえ、浅い角度で進入しないようにすることが必要です。
電動自転車は坂道などを楽に走行できるほか、小回りがきくなど利便性が高いため、子どもの送迎などで利用する親世代に人気です。事故を防ぐには、リスクを理解し、慎重な運転を心がける必要があります。段差を避け、平坦で整備された道路を走行し、同乗する幼児にはヘルメットやシートベルトの着用を徹底すべきです。
(2022年5月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)