非正規雇用

 同一労働同一賃金は、正社員、非正規社員にかかわらず、同じ仕事なら同じ賃金を支払うという考え方です。もともとは欧州で、性別や人種などによる賃金差別を禁止する原則として確立したものです。国内では、長引くデフレから企業が正社員採用を抑制した結果、非正規で働く若者が大幅に増えました。その不安定雇用や低賃金が社会問題となってきました。同一労働同一賃金は、雇用形態による格差をなくすための制度です。日本では、正社員に対するパートの賃金は57%で、フランス89%、ドイツ79%などに比べて低くなっています。
 現在、労働者全体の約4割を占める非正規は、昇進や昇給の機会はありません。一方、日本の正社員は、長期雇用と年功序列が前提で、賃金は能力や意欲を評価する職能給が基礎となっています。これに対し、非正規労働者はあらかじめ職務が限定され、賃金は職務内容によって決まる職務給です。これらの雇用慣行を考えると、一時的に正社員と非正規労働者が同じ仕事をしたとしても、それだけを指標に同一労働かどうかを判断するのは難しくなります。労働契約は、最低賃金を下回るなどの法令違反がない限り、労使の合意で決めることが基本とされており、契約内容に踏み込む規制は難しいとされています。

(2016年4月10日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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