預金残高の増加

 金融機関に預金が集まり続けています。銀行や信用金庫などの預金残高は、20173月末時点で、過去最高の1,053兆円となりました。日銀のマイナス金利政策で、金利はほぼゼロにも関わらず、中高年を中心に預け続けています。2016年に日銀が導入したマイナス金利政策により、貸出金利を押し下げ、お金が市場に向かうとの期待がありましたが、預金に集中しています。個人の金融資産である1,800兆円の半分を預金が占めています。わが国においては、欧米に比べ預金比率は高くなっています。その多くは高齢者の資産です。老後の不安から退職金や年金を預金として温存しています。
 国内銀行の預金残高に占める貸出金残高の比率を示す預貨率は、ピーク時の1988年に137%に達しましたが、直近は70%台まで低下しています。日銀が国債を市場から大量に買い入れてお金を銀行に供給しても、そのお金が個人消費や住宅購入、企業の設備投資に向かわず、現預金という形で銀行にたまってしまいます。

(2017年6月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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