風力発電設備の事故予防

 経済産業省の電気保安統計によれば、風力発電設備の破損は2019~2023年度の5年間で計224件ありました。部位別では発電機の79件や電流の向きを変換する逆変換装置・インバータの64件が多く、風車の羽根は29件でした。事故原因は保守点検の不備、天候に起因する雷・強風などが多くなっています。

 東京電力福島第1原子力発電所事故などを契機に、風力発電は増加しています。日本風力発電協会によれば、2024年末までの累計導入量は5,840メガワットで、2012年時点から2倍以上になっています。政府は、2025年にエネルギー基本計画を閣議決定し、風力の電源構成に占める割合について、2023年度の1.1%から2040年度までに4~8%程度に高める方針です。

 風力発電事業をさらに進めるためには、事業の安全性と信頼性の確保が不可欠です。発電効率を高めるため風車の大型化が進み、高所から部品が離散するリスクが高まっています。保守点検の実効性を担保するため、点検箇所や頻度を増やす必要があります。カメラを搭載したドローンによる点検やAIによる画像解析の導入を促し、点検の質を効率的に高める仕組みが求められます。

(2025年6月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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