風疹検査の必要性

風疹の拡大防止策として、中高年の男性を対象に実施している無料の抗体検査を受けた人は約337万人で、目標の4割未満に低迷しています。厚生労働省は、本年度末までに約920万人に検査を受けてもらい、免疫のない人にワクチンを打つことで、抗体保有率を90%以上に引き上げる目標を掲げていましたが、達成は困難な状況です。
風疹は、妊婦が感染すると、赤ちゃんが難聴や心臓病などの障害が出る先天性風疹症候群(CRS)になる恐れがあります。放置すれば再び流行してCRS発生が増える懸念があるため、当初、本年度末で終了する予定だった事業を延長する方針です。
国内では、2018年から2019年にかけて計5千人を超える感染者が報告される流行が発生し、CRSの赤ちゃんも4人報告されています。ワクチン接種の機会がなかった40~50代の男性の抗体保有率が低いことが一因と考えられています。新型コロナの情勢を踏まえると、抗体保有率の目標達成時期の後ろ倒しはやむを得ませんが、二度と風疹を流行させないために、政府は目標値に達するまでワクチン接種を継続すべきです。

(2021年10月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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