風疹流行の防止策

風疹は、ウイルスを含む咳やくしゃみ、会話での飛沫を吸い込むなどして感染し、発熱や発疹、リンパ節の腫れなどがみられます。多くは軽症で、無症状の人もいます。問題になるのは妊婦の感染です。妊娠20週ぐらいまでにかかると、胎児にも感染し、先天性風疹症候群(CRS)の赤ちゃんとして生まれてくる恐れがあります。CRSの3大症状は、白内障や難聴、心臓病です。
国立感染症研究所によると、流行は数年おきに繰り返されています。2013年は、全国で1万4,344人が風疹に罹り、CRSの赤ちゃんが45人、2018年からの流行では6人生まれたことが報告されています。
流行を防ぐカギはワクチンです。現在、就学前に2回の定期接種が行われ、子どもの間で感染が広がることはほぼありません。直近2回の流行では、感染者の5~6割が30歳代~50歳代の男性でした。特に1962~1978年度生まれの男性は、ワクチンの定期接種の対象外だったため、免疫を持つ人が少なく、感染を広げ、周囲の妊婦にうつしてしまうのです。
国は、この世代の男性に特別な対策をとっています。希望者は、感染を防ぐ抗体の有無を調べる血液検査を無料で受けられます。抗体がないと判明した場合は、ワクチン接種も無料です。CRSの子どもを一人でも減らすには、妊婦やその家族の力だけでは難しく、風疹の根絶は、社会全体で取り組む課題です。

(2023年11月5日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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