厚生労働省の分科会が、飲む中絶薬であるメフィーゴパックの製造販売の承認を了承しました。海外では65以上の国・地域で使用されていますが、日本では中絶への理解不足などから実用化の動きは大きく遅れていました。現場の医師も選択肢が増えることを歓迎しています。
この薬は妊娠9週までの人が対象で、2つの薬剤を組み合わせて服用します。妊娠の継続に必要なホルモンの働きを抑えるミフェプリストンを投与し、さらに36~48時間後に子宮の収縮を促すミソプロストールを服用します。
中絶を希望する妊婦120人が参加した国内の臨床試験では、93%で服用後24時間以内の中絶を確認しています。下腹部痛や嘔吐などの副作用がありましたが、多くは軽度か中程度です。異常出血や細菌感染などの重いケースは4例報告されています。
安全な手法の選択肢が広がるという点で意義深いと思われますが、短時間で確実に中絶する手術と異なり、投与開始から数日かかる上、中絶に至らないケースもあることから、当面は慎重な取り扱いが必要です。
(2023年4月22日 中日新聞、朝日新聞)
(吉村 やすのり)