首都圏で待機児童の解消がなかなか進んでいません。国は2020年度までにゼロにする目標を掲げていますが、1都3県では2018年4月1日時点でなお9,225人の待機児童がいます。1都3県の待機児童のうち1歳は、5,223人と57%を占め、0歳児は1,835人の3倍にのぼっています。需要に対して、保育所の受け皿が圧倒的に足りていません。待機児童は働く女性の増加に伴い、社会問題として広く認識されるようになりました。自治体は急ピッチで施設の拡充を進めていますが、まず保育士や土地・物件の不足が大きな足かせとなっています。特に深刻なのは保育士不足です。
0歳の保育は自力で歩けないなど手がかかるため、国や自治体から1人につき1歳の1.5倍以上の補助金が出ます。保育所の運営事業者にとっては、0歳を多く受け入れ、1歳の新規枠を抑えた方が経営しやすくなっています。一方で、保護者は1年以上の育休を取得した後で、子どもを保育所に預けたいと思う人も多く、ミスマッチが生じています。認可保育所では、保育士1人が0歳を3人まで預かれますが、1歳になると6人に増えます。0歳を抑え1歳枠を増やせば、保育士の数に対しより多くの子を受け入れられます。
(2018年12月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)