首都直下地震後の未治療死の解析

 日本医科大医師らの研究チームによれば、首都直下地震発生時に適切な治療を受けられずに亡くなる未治療死は約900人でした。住宅の耐震化が進み、2022年の前回試算から8割強減少しています。ほぼ全てが東京23区東側に集中しており、住宅密集地で緊急車両が通行できる道路環境を整備するなどの対策が必要となります。

 道幅が狭く緊急車両の到着や重症者の搬送に支障が生じやすい木造住宅密集地域の解消も要因の一つとなっています。住宅の耐震化率向上に伴って重症者数が減り、病床数が増えたことも奏功しています。治療の優先順位を決めるトリアージで、最も緊急度が高い赤タグをつけた重症者の多くを災害拠点病院で処置できることが前提になります。

 実際には停電や断水、医療従事者の被災が重なり、重症者の受け入れが困難になるケースも想定されます。介護タクシーの活用など、救急車に依存しない搬送手段の策定や訪問診療・看護を平時から災害医療に組み込むといった民間との連携も見直す必要があります。未治療死のリスクを可視化することは、防災上の弱点を特定し対策を進めていくうえでの指標になります。

(2026年1月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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