骨盤底筋体操の意義

女性の4人に1人が尿漏れを経験するとされています。尿が意図せず漏れることを医学的に尿失禁といいます。女性に多いのは、せきやくしゃみなどおなかに力がかかった時に漏れる腹圧性尿失禁、尿がしたくなりトイレに行く途中で漏れる切迫性尿失禁、両方を併せ持つ混合性尿失禁の3つです。全体の半数は腹圧性尿失禁で、混合性を含めると8割に上ります。膀胱や尿道などを支えるハンモック状の骨盤底が、妊娠や出産、加齢で傷むのが主な原因です。尿道がぐらつき、腹圧がかかった際に開きやすくなります。
治療はまず、骨盤底の筋肉を鍛える体操を行います。効果が見られない時は、尿道などの筋肉に働きかける薬を併用します。それでも改善しなければ、骨盤底筋を補強する手術を検討します。腹圧性尿失禁の場合、正しく体操をすれば、約3カ月で4割の患者が改善を期待できます。切迫性尿失禁は過活動膀胱の一種で、70代以降に多くみられ、薬による治療がメインとなりますが、骨盤底筋体操も併用します。タイプによりますが、軽度なら体操だけで改善が見込め、若いほど治療の効果も高くなります。

(2020年7月7日 東京新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。