高卒者の3年以内離職率が高止まりしています。厚生労働省によれば、2025年3月卒の求人倍率は過去最高の3.7倍を記録しています。一方で、2021年卒の3年以内離職率は38.4%に上っています。大卒より3.5ポイント高く、4割近い水準が長年続いています。
背景あるのが高校生特有の就活事情です。大学生は時間をかけて就職先を探せますが、高校生は7月に学校に求人票が届き、9月半ばには選考が始まります。学業を優先するためですが、企業研究や自己分析に費やせる時間は限られています。最初の応募先を1社に絞る1人1社制という、高度経済成長期から続く慣行もあります。学校は履歴書作成や面接練習の負担が減り、生徒を確実に就職させることができます。企業も内定辞退が少なく、効率的に人材を確保できる仕組みとして活用しています。
高校生は企業を十分に比較できず、ミスマッチを生む可能性は高くなっています。厚生労働省の2023年の調査では、離職理由の上位に、人間関係が良くなかったが28.0%、労働時間や休日の条件が24.8%、仕事が合わないが21.6%などが上がっています。
企業にとって大卒者より長く働ける高卒者は戦力です。企業は、早期離職を防ぐ様々な取り組みを行っています。企業は高校生に提供する情報の量と質を充実させるべきです。学校もキャリア教育で早い段階から就業意識を高め、生徒の選択肢を増やす必要があります。
(2024年11月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)