高層マンションの火災の増加

 東京消防庁によれば、2024年に東京都内で起きた高層マンションの火災は249件で、このうち69件が11階以上の高層階からの出火でした。タワーマンションの増加などを背景に件数自体は増加傾向にあります。棟の中心部分の階段やエレベーターを通って熱気が上昇し、上階に延焼しやすい構造になっている高層住宅群で、短時間に高層階まで燃え広がります。階段やエレベーターに煙が入れば避難が難しくなります。

 日本では、1972年の大阪・千日デパートビル火災などに大規模な被害が生じるたび、防火に関する法令が厳格化されてきました。消防法は高さ31mを超える建物を高層建築物と定義しています。通常は11階建て以上の建物が該当し、延焼防止や人命救助のための様々な対策が義務付けられています。11階以上の階へのスプリンクラーの設置や防災性能を有するカーテンやじゅうたんを使用するよう規定しています。建築基準法は、消火活動や救助活動に使う非常用エレベーターを設けるよう求めています。

(2025年11月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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