高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度(高プロ)は、ホワイトカラーエグゼンプション(頭脳労働者脱時間給制度)とも呼ばれます。一律に時間で成果を評価することが適当でない労働者の勤務時間を自由にし、有能な人材の能力や時間を有効活用することです。通常の定時勤務にとらわれない反面、勤務時間に基づかないため、休日出勤などの時間外労働を行った場合の補償はされません。高プロと裁量労働制の対象拡大を含む労働基準法改正案は、2015年に国会に提出されましたが、一度も審議されずに昨年廃案となっています。
裁量労働制は、一定時間働いたとみなして残業代込みの賃金を支払う制度であり、深夜・休日労働に対する割増賃金の支払い義務は残ります。一方、高プロを適用されるとそれもなくなり、残業代を支払わなくてよくなります。高プロのように労働時間規制を完全に外す制度の導入は、経済界の長年の悲願です。
高プロは、年収1,075万円以上の働き手に対象を限定し、適用業務を具体的に省令で定めるなど、要件を裁量労働制より厳しく設定されています。しかし、年間104日の休日確保を義務付けるなど健康確保措置が強化されています。この高プロは、年収要件が高いので中小企業ではあまり活用できません。

(2018年3月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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