高所得者の保険料負担

 厚生労働省は、2018年度から自営業者らが払う健康保険(国保)の保険料について、年間の支払い上限額を4万円引き上げます。年収が1,000万円を超えるような所得の多い自営業者が、負担する社会保険料が増えます。国保は自治体がそれぞれの財政事情に合わせて、加入者の年収ごとに保険料を定めています。年間の支払上限金額は国が決めており、現在は年73万円ですが、これを2018年度から77万円にします。上限に達する年収は自治体ごとに違いますが、厚生労働省によると平均で年収1,070万円以上の人が対象になります。
 国保は慢性的に赤字状態にあり、保険料では賄えない医療費を自治体が税収などで補っています。企業に勤める人の健康保険料は、労使折半で年収の9%程度で、労使合わせた負担額は国保より多くなっています。国保の財政状況を考えると、高所得層の負担増は避けられない状況にあります。社会保障は会社員でも高所得層の負担増が続いています。保険料率は、2007年度の平均7.3%から直近は平均9.1%超まで上がっています。

(2018年1月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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