わが国においては、約4300万人の高血圧患者がいるといわれています。血圧値が高いほど脳卒中や心筋梗塞、慢性腎臓病などになる可能性が増し、死亡リスクも高まります。高齢化が進むと、患者数はさらに増えることになります。血管に必要以上に圧力が加わると、内壁が傷んだり硬くなったりして動脈硬化などを招きます。そのまま放置するとさまざまな病気の引き金になります。国内では、高血圧が原因で年間約10万人が死亡しているとの推計もあります。
降圧薬を服用する前にまず実施すべきなのが、塩分の摂取量を減らすことです。もう少し減塩に努めなければなりません。減塩醤油を使用し、味噌汁を控えるだけでも塩分摂取量は減ります。内臓脂肪の蓄積にも注意が必要です。内臓脂肪は、血管を収縮させる働きのある物質を分泌します。メタボリックシンドロ-ムの治療が、血圧の低下にもつながります。十分な睡眠をとり、ストレスを減らすことも大切です。
(2015年10月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)