高評価の論文執筆者の減少

他の研究者の論文に多数引用される論文を執筆した研究者を高被引用研究者と呼びます。科学研究は、先人の研究成果の上に新しく得られた知を積み重ねるため、研究者は学術論文の中で参考にした先行研究の論文を引用します。重要な研究成果ほど応用される裾野が広く、高頻度で引用され、評価が高いことを示します。
英調査会社クラリベイトは、引用される回数が多い上位1%の論文を過去10年に複数出した研究者を高被引用研究者(Highly Cited Researchers=HCR)として、2014年から物理、化学、臨床医学、免疫学など21分野で公表しています。2022年は世界で3,981人が選出されています。首位は米国の1,568人、2位は中国の523人で、英国、ドイツ、オーストラリアが続いています。日本は2014年に5位でしたが、2022年には11位に後退しています。
複数の分野にまたがり学際的に活躍する研究者の重要性も増しています。クラリベイトは、このHCRをクロスフィールドとして、2018年から別枠で集計しています。日本はクロスフィールドを含む人数でも15位にとどまっています。HCRを多く輩出した世界上位10機関のうち、米国が6機関、中国が2機関、英と独が1機関ずつです。

(2023年3月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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