磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影装置(CT)など高額医療機器の購入には、数千万円から高いもので10億円を超えます。国内の病院と診療所は合計で約11万施設あります。約1万施設でCT、5千施設にMRIが設置されています。人口10万人あたりでみると、CTの台数は10.7台で、OECDの加盟国平均の2.6台を大きく上回っています。MRIの検査数を人口1千人あたりでみると、主要7カ国ではドイツに次いで2番目に多くなっています。
MRIの検査費は2万~3万円程度であり、自己負担が3割の患者で、2万円の検査費がかかったとすると、1万4千円は公費で負担します。医療機関が機器の稼働率を上げる目的で過剰に検査を行うと、医療費の膨張につながります。地域格差も大きく、CTは、国内で最も多い徳島県が10万人あたり21.8台、最小の神奈川県は6.4台です。人口当たりの機器の台数が多いほど、1台あたりの稼働率は低くなる傾向にあります。厚生労働省は、地域ごとに住民の年齢構成や性別を加味して機器の過不足が分かる指標を作り、新規購入や機器の更新を検討する病院に提供します。
(2019年3月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)