高額療養費の見直し

 保険適用の医療サービスを受けた際にかかる医療費には、患者の月ごとの負担限度を設ける高額療養費制度があります。この制度は、大きな手術などによって医療費の支払いが膨らんだ際、所得などに応じた限度額を上限に負担を抑える仕組みで、公的医療保険のセーフティーネットとして機能しています。

 政府は、負担上限額の引き上げを検討します。対象となるのは、負担額の計算式に使う基礎的な金額で、2025年から3年かけて引き上げます。1段階目として、2025年8月から現行の所得区分ごとに2.7~15%引き上げます。さらに所得区分を細分化した上で、段階的に2026年8月と2027年8月にも引き上げる予定です。

 引き上げの背景の一つに、子ども関連政策の財源確保があります。児童手当の大幅拡充などが盛り込まれたこども未来戦略は、年3.6兆円規模の子ども関連施策のうち、1.1兆円の財源確保について、2028年度までに社会保障の歳出削減で賄うとしています。高額療養費の見直しで抑えた分を財源に回す形です。

 医療費が増大し、保険料負担が増え続けていることもあります。厚生労働省の試算では、3段階全ての引き上げが完了すると、おおよそ年3,700億円の保険料が削減されます。1人あたりでは年1,100~5千円程度の軽減となります。

(2025年1月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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