厚生労働省は、医療費が高額になった場合に患者の自己負担を抑える高額療養費制度について、患者負担額の上限を引き上げる検討に入っています。高齢化や革新的な治療の広がりで医療費が高額になっており、年齢を問わず支払い能力に応じた負担を求めるとしています。
高額療養費制度を適用するケースは増えており、2021年度の支給件数は6,198万件と、2011年度に比べて3割伸びています。支給総額は約2.85兆円で、2011年度比4割増えています。自己負担を増やすことで、伸びが続く医療財政の膨張を抑えます。
高齢化や生活習慣病の増加により、薬を継続的に使用する人が増えていることも、医療費の高額化を招いています。医療費が増加し続ける半面、高額療養費制度で患者負担が一定額に抑えられることで、患者の実質的な負担割合は低下傾向にあります。厚生労働省は制度改正を通じて年齢を問わず、支払い能力に応じて負担を求める応能負担を強めたい考えです。医療の保険給付を抑えることで、現役世代の保険料負担の軽減にもつなげたいとしています。
(2024年11月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)