高齢者に対する虐待件数の増加

介護職員による虐待件数が増加しています。厚生労働省の2017年度の調査によれば、職員による虐待が510件(前年度比12.8%増)と過去最悪を記録しています。5年で3倍以上に増えています。家族らによる虐待も1万7,078件で、最多を更新しています。
深刻なのが訓練を受けたはずの職員による虐待です。殴るなどの身体的虐待は59.8%、暴言を吐くなど心理的虐待は30.6%を占めています。背景には、認知症などでコミュニケーションの難しい利用者が増える反面、経験の浅い職員に頼らざるを得ないことにあります。介護職の今年2月の有効求人倍率は4.08倍と、職業平均の1.54倍を大きく上回る状況が続いています。自治体は、介護職や市民向けに虐待に関する研修を行うなど、虐待を見逃さない環境づくりに努めることが必要となります。

(2019年4月4日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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