高齢者のがん対策

 高齢化が進む日本では、がん患者の多くは高齢者です。国立がん研究センターなどによれば、1年のうちに新たにがんと診断される人は年間約99万人で、75歳以上は46%を占めています。65歳以上は76%です。今後益々がんになる高齢者が増えてきます。

 75歳以上でみると、男性は前立腺がんが最多、肺、胃、大腸、肝臓と続きます。女性は大腸がんが最多で、乳房、肺、胃、膵臓という順番になっています。

 高齢者といっても、持病の有無、体力などは個人差が大きく一律に考えられません。心身の衰えが進み、介護が必要になる前段階の状態であるフレイルの人は、年齢が高くなるほど多くなります。治療の効果よりも悪影響の方が大きくなってしまう恐れもあります。90歳以上になれば2人に1人の割合で認知症になると考えられていて、認知症のあるがん患者も増えています。認知症だから何も分からないと決めつけず、本人の考えを尊重して治療方針を決めることが大切です。

 新たな薬や治療法の効果を試す臨床試験の対象になるのは一般的に75歳までです。そのため高齢者に治療をした時のメリットとデメリットの根拠となるデータは、若い人と比べて多くありません。手術、薬物療法、放射線治療などの標準的とされる治療でも、負担が大きい場合があります。2023~2028年度に進める第4期がん対策推進基本計画においては、高齢者のがん対策を掲げ、診療ガイドラインの充実や、高齢の患者が適切な意思決定に基づいて治療を受けられるよう取り組むことなどを目標しています。

(2026年2月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です