高齢者の労災死傷の増加

 厚生労働省によれば、2023年に労災で死傷した60歳以上の人は3万9,702人です。働くシニアが増えていることに伴い、8年連続で過去最多を更新しています。床で足を滑らせるなどの転倒が4割を占めています。製造業、小売業、保健福祉業で多く、加齢による身体機能や筋力の低下が原因とみられます。

 高齢者の労災防止に向け、厚生労働省は2020年にガイドラインを策定し、事業主に対策を取るように求めています。作業場所の明るさを確保することや通路の段差を解消することなどです。しかし、こうした取り組みを実施している事業所は2割にとどまっています。実施しない理由は、自社の60歳以上は健康が48%、取り組み方が分からないが33%といった回答が多くなっています。

 国は事業主の取り組みを促すため、労働安全衛生法を改正し、指針に基づく対策の実施を雇用主の努力義務とする方針です。高齢化や人手不足が進む中、高齢者が安心して働ける職場づくりは不可欠です。

(2025年3月8日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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