高齢者の救急搬送

 高齢者の救急搬送が増えています。高齢化の進行に加え、1人暮らしや夫婦2人の世帯で身近に頼れる人がおらず、比較的軽い症状でも救急車を呼ぶ例が少なくないと思われます。高齢者の場合、軽い打撲や突き指、歩くのがおっくうなどの理由で、救急車を呼ぶ例も多くなっています。軽症の場合、家族や地域などが支えることで救急車を呼ばずに済むケースも少なくありませんが、支える側も高齢者だったり、身近に頼れる人がいなかったりすれば、救急車に頼りがちになります。
 高齢者が緊急か否かを自分で判断するのは危険です。単なる体調不良と判断し、救急車を呼ばずに、心筋梗塞や脳卒中などの治療が遅れてしまうこともあります。めまいやふらつき、不整脈など脳や心臓の病気の可能性がある時は、我慢せず、一刻も早く救急車を呼ぶことが望ましいと思われます。高齢者や持病がある人は、かかりつけ医、治療、服薬の状況など医療情報が救急隊や医師にわかるよう、メモしておくことが望ましいと思われます。救急隊員に緊急性がないと判断されたならば、医療機関には救急車は使わずに自家用車やタクシーなどで行くべきです。

(2016年6月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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