高齢者の薬の服用

年齢を重ねるごとに持病が増え、のむ薬の種類や数が増える高齢者は多くなっています。複数の医療機関に通い、連携がうまくいかず、薬の副作用による症状だとは気づかずに新たに薬が処方される例も少なくありません。厚生労働省の報告によれば、治療を受けている65~74歳の約3割、75歳以上の約4割の人が5種類以上の薬をのんでいます。高齢になるほど、肝臓や腎臓の機能が落ち、代謝や排せつに時間がかかるため、薬が効きやすくなります。また、のむ薬が増えると副作用が起こりやすくなります。
2017年4月に、厚生労働省は高齢者の医薬品の適正使用の検討を始めています。昨年5月と今年6月、医療機関に向けて、転倒など高齢者に多い症状の原因となる薬の扱い方をまとめた指針を示しています。催眠鎮静薬、排尿障害などで処方される抗コリン薬の長期の服用、高用量の利尿薬などは見直しの検討が必要だとしています。2018年度から、6種類以上の内服薬が処方されている患者について、薬剤師が医師に減薬を提案し、2種類以上の薬を減らせた時には、月1回に限り調剤報酬がつくことになっています。患者は薬を記録するお薬手帳を1冊にまとめ、かかりつけ薬局・薬剤師を決めておくと薬が把握しやすくなります。

(2019年9月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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