人口に占める65歳以上の高齢者の割合は28.8%で、2025年には団塊世代全員が後期高齢者に当たる75歳以上になります。2030年代は3人に1人が65歳以上、5人に1人は75歳以上になります。85歳以上の人口も2035年に1,000万人を超える見通しで、人生100年時代が現実味を帯びてきました。
高齢者が増えると、程度の差はありますが、認知症の方も増える懸念が出てきます。認知症の高齢者は2025年に700万人、2030年には800万人を超えるという推計もあります。認知機能が低下する高齢者が増えてくると、金融資産の管理が問題となってきます。
第一生命経済研究所の推計によれば、認知症の人が保有する金融資産は2030年に215兆円となり、全体の1割に到達する見通しです。認知症になって本人の意思が確認できなくなると、銀行は、親族が介護費用を捻出するため預金の引き出しを求めても原則として応じません。稼働しない金融資産が積み上がれば、金融・資本市場全体が活力を失ってしまいます。
(2021年7月14日 読売新聞)
(吉村 やすのり)