体の機能が衰え、骨がもろくなりがちなお年寄りでは、転倒がきっかけで骨折することも多くなります。その原因となるのが骨粗鬆症の増加です。骨粗鬆症であれば、転倒した時に、骨折の危険性が高まります。骨粗鬆症の有病率は、男女とも高齢になるほど上がります。女性ホルモンの減少が関係するとされる女性では、70代で43%、80代以上は65%ととくに顕著です。骨粗鬆症は自覚症状がなく、骨折してから初めて気づく人がほとんどです。女性の場合は、若い時に比べて身長が5㎝以上低くなっていたり、背中が丸くなっていたりすれば、骨粗鬆症による背骨の骨折が起きている可能性を考えて、医療機関を受診すべきです。
歩行速度や片足立ちの時間を測定したり、骨密度を調べたりして、転倒や骨折の恐れが高まっていないかをチェックすることが大切です。骨を壊す細胞の働きを妨げるビスフォスフォネート製剤などの登場で、治療も進んでいます。骨粗鬆症の予防には、ウォーキングなどの適度な運動、カルシウムやたんぱく質を含んだバランスの良い食事に加え、適度に日光にあたることが推奨されます。紫外線によってビタミンDが皮膚でつくられ、カルシウムの吸収を助けます。1日30分ほど太陽光を浴びると効果的です。
(2018年3月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)