高齢者医療への仕送りの負担増

 高齢者の医療費への仕送りが、現役世代の手取りを圧迫しています。企業の健康保険組合が負担する拠出金は、2024年度に過去最高の3兆8,591億円に達しています。前年度から2,065億円増えています。こうした支出をまかなう保険料は、給料の一定割合を天引きして集めています。保険料率は上がり続けており、家計の可処分所得の伸びを抑える大きな要因となっています。

 2024年度の健保全体の支出は、9兆2,531億円と前年度比2,851億円増えていました。この伸びの7割にあたる2,065億円が高齢者医療への拠出金です。収入は4,362億円増えて9兆2,677億円で、伸びの5割の2,277億円は賃上げ効果で、そのほとんどを高齢者への仕送りの膨張が食い潰したことになります。

 2025年度に後期高齢者医療制度への支援金は現役世代1人あたり13万7,146円と、制度が始まった2008年度の約2倍に膨らむ見通しです。この間、賃金水準を示す標準報酬月額の平均は1割しか伸びず、40万5,470円にとどまっています。高齢者への仕送りは今後も拡大すると思われます。

(2025年9月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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