75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の自己負担は原則1割で、若い世代の3割より低くなっています。政府の全世代型社会保障検討会は、75歳以上でも一定以上の所得で2割に引き上げると決めています。75歳以上の医療費は、8割強(約15兆円)を若い世代の保険料と国・自治体の公費で賄っています。75歳以上になると持病を抱え、医療費がかさみがちになります。政府推計では、医療費は2018年度の45兆円から2025年度には54兆円に膨らみます。若い世代の人口が増える見通しはなく、そのまま放置すれば、現役世代に負担が重くのしかかってしまいます。
今後は後期高齢者の収入や支出といった生活実態から可能な負担を分析し、2割の範囲を決定することになります。低所得者を2割に引き上げるのは、生活への影響が難しく、1割負担の維持が必要になります。具体的にどの所得層で線引きするかが今後の最大の焦点です。
(2020年2月19日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)