政府の未来投資会議で、70歳までの雇用の確保を努力義務として企業に課す高年齢者雇用安定法改正案の具体的な内容が示されました。国内では60歳定年が主流で、年功序列や終身雇用を柱にしたシステムが続いてきましたが、海外では定年を廃止している国もあります。米国には年齢差別禁止法があり、採用時に年齢を条件にしたり年齢で雇用を打ち切ったりすることを禁じています。英国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランドにも定年はありません。
厚生労働省が企業約15万7,000社を対象に実施した2018年の調査によれば、定年が65歳の企業の割合は16.1%、定年廃止は2.6%にとどまっています。継続雇用など66歳以上が働ける制度のある企業は27.6%で、70歳以上では25.8%です。いずれも31~300人の中小企業の方が、大企業よりポイントが高くなっています。わが国の60歳以上の就業者数は、年々増加してきています。高齢者がより長く働ける仕組み作りが、人手不足の解消や社会保障制度の安定化につながります。
(2019年5月16日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)