近年、高齢化に伴って運転寿命が延び、認知機能に問題がなくても、運動機能の低下による事故が多発しています。警察庁の調査によれば、2019年に四輪車のドライバーが起こした死亡事故のうち、操作ミスが原因の割合は、75歳未満の12%に対し、75歳以上は30%にも達しています。2009年に324万人だった75歳以上の免許保有者は年々増え、昨年は590万人に増加しています。運転免許の自主返納者は年々増えていますが、団塊の世代が75歳以上となる2025年には790万人に達する見込みです。
高齢運転者の事故を防ぐために、一定の違反歴がある75歳以上のドライバーが対象の運転技能検査と、自動ブレーキなどを備える安全運転サポート車の限定免許制度が、来年5月に始まります。運転技能検査は、免許更新時に実車試験を義務付け、免許更新の可否を判断します。
制度改正のもう一つの柱が、安全運転サポート車の限定免許の創設です。サポート車は、危険が迫った時の自動ブレーキや、アクセルとブレーキの踏み間違いによる加速の抑制装置などを搭載する車です。限定免許は、免許返納を迷う人にとって、新たな選択肢になることが期待されています。
(2021年11月18日 読売新聞)
(吉村 やすのり)